moulin à lègumes - ジンジャーの薫り・・・仏田舎手帖

moulin à lègumes

  • 2004.03.30
子供たちはポテト・ピューレが大好き。
具合が悪く食欲のない時でもこれなら食べられます。
元気いっぱいの時でももちろん、主菜のつけ合わせに出せば大喜び。
焼いたソーセージやブーダンやお肉のソテーを一口大に切った後は、ぐちゃぐちゃにピューレと混ぜて、セメントを煉るみたいにこねくり回して、それをフォークですくって美味しそうに平らげていきます。
そんなわけでコレの出番はひっきりなし、私の右腕も回りっぱなしというわけ。

moulin.jpg


4,5年くらい前になるでしょうか、義母が誕生日にプレゼントしてくれたフランスの昔ながらの家庭用品。初めて手にするものなのに、懐かしい気持ちになったのを覚えています。

「ミキサーで挽いた方が簡単だけど、これで挽くと舌触りがまるきり違うのよ。」
と義母に言われた言葉を信じて、以来我が家のキッチンの愛用品になりました。ステンレス製のムーラン・ア・レギューム、野菜漉(こ)し器です。

私はいつのまにかポテトピューレ専用と勝手に思い込んでいたくらい、ジャガイモにしか使ったことがありませんが、ニンジンや他の野菜ももちろん漉せます。
真ん中にジャガイモを入れて、黒い取っ手の部分をグルグルと手で回して挽いていきます。するとこの小さな穴の大きさになったジャガイモが、細い麺のように下からにょきにょきと出てくるという原始的な仕組みですが、そのにょきにょきが美味しそうで、見るのが快感。
漉し穴の大きさはご覧の通り大・中・小と3種類あって、刃を入れ替えることが出来ます。
これも私はたいてい中サイズの刃のみを使用しています。

回すのと、洗うのが、ちと億劫そうですって? 
いや、なんてことはありません。子供たちにとっては≪本物のオモチャ≫。遊び感覚で面白がってやりたがりますから、素直にやってもらいます。(ただしこの場合、回すという手間は省けますが、自分でやるより更にン倍も時間がかかるということと、にょきにょき出てきたジャガイモがあちこち飛び散っても、微笑みを絶やさず横で励まし続けるという、違った労力と忍耐力を要します。。。)

洗い方は、一晩水につけて置けば、翌朝こびりついたジャガイモは水でさっと流せてしまいます。
もっとも、忙しい現代生活にふさわしく最近はこれの電動式も出回っていて、あっという間に回転して挽いてくれるようです。でも、あくまでも料理をしながら二の腕に筋肉をつけたい、という理想をお持ちの方、またはギコギコと人間のリズムで回る音に情緒を感じる方など、こだわりをお持ちの方には昔ながらの方をお薦めします(?)。


さて、ある日のこと。
「よっしゃ~今日もママンのおいしいピューレだよう~。」といつものように回し始めました。

ところが。あれれ。勝手が違います。取っ手が重くてなかなか回りません。
ちょっと歯を食いしばって、グイと力を込めて続けます。
ジャガイモを1つ足して、グールグル。どうにかこうにかつぶれていきます。

そしてやれやれと、ひょいと顔をかがめて下を覗いてみれば、「にょきにょき」の「にょ」の字も穴の下から出ていないではありませんか!!
取っ手は重くてまるで鉄アレイ。
その上いつもなら麺状になって、下で待ち構えているお鍋のなかにスルスルと落ちていくジャガイモも、その日は麺一本出てきませんでした。
反対に、粘土状になったものが穴からイヤそう~に這い出てきては、その穴にこびり付いてふさいでいくばかり。

「何だろう、随分粘ってるジャガイモねぇ、今年のミシェルおじさんのジャガイモは、粘り気がすごいわ。(毎年親戚のミシェル叔父さんの畑で取れたジャガイモを食べています)」
横で手伝ってくれているトトに私はそう説明しました。
「ホントに・・・この・・・ミシェルおじ・・・さんの・・・ジャ・・・ガイモ・・・ったら・・・ !!!」と何度も呟きながら、私の息遣いはどんどん荒くなっていきました。
額にをかき、結わっていた髪が少しほつれ、両足を相撲取りのように踏ん張って、顔を思い切りめながら≪ママンのピューレ≫を作っている私の尋常ならぬ様子を、トトはフシギそうに眺めていました。
それでもお鍋の中は空っぽ

ついに首も腕もくたくた、息も切れ切れ、ピューレは途中で断念することにしました。
残ったジャガイモをフォークで潰しただけの即席ピューレに、母の難局を目の当たりにしたトトもナナも文句は言いませんでした。
そうやって食べたジャガイモは、そんなにも粘った味はしませんでした。
「何だったんだろうね、今日のジャガイモは?こんなこと初めてよ。」
「ミシェルおじさんにいわなくっちゃね、ママ。」
・・・と話しながら夕飯を終え・・・流しにつけるために、漉し刃をはずしたとたん・・・「ア!!・・・







謎が解けました。

3種類の刃を全部重ねて付けていたのです(笑)。

どこの整頓風が私に吹いたのか、前回洗い終わったあとに、律儀にも3枚重ねてはめて仕舞っておいたのを、すっかり忘れていたのでした・・・。

トトはいまだにこの日の私の格闘ぶりを思い出すと、笑いが止まらなくなってしまいます。
皆様も、ご使用の際には、お気をつけ下さいませ(誰もこんなことしないって?)。
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