渋柿のおじちゃん - ジンジャーの薫り・・・仏田舎手帖

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渋柿のおじちゃん

  • 2014.11.28
渋柿を売ったマルシェのおじちゃんのところで、もう一度渋柿(に違いない)を買ってきました。
今度は甘く出来る自信があるので、問題もない、のですが・・・
このおじちゃん、初めて見た時から、喩えが古くて申し訳ないのですが、夜道で唐草模様の風呂敷を背負った姿が似合いそうな(若い方はわからないかも)、レトロにうさんくさい雰囲気を醸し出しているんです。本当なら素通りするところなのですが、でも、売っている野菜や果物はなかなかいいので、ものすごーーく用心しながら買っています。
すると、予想を裏切らず、毎回必ずおつりを間違えること、間違えること(おじちゃんに都合のよいほうに。)

おつりが少なかったり、単価が札に書いてあるのより高い値段で計っていたり、前の客の買ったものがそのまま合算されていたり・・・なので、計りにかけているときから気を許せなくて、じーーーっとおじちゃんの手元を見張っていないとなりません。
「また来てくれたから、おまけしとくよ!」なんて威勢の良いことを言っておいて、くれたお釣りを手のひらで数えると、全然おまけになっとらん
わざとなのか、うっかり屋なのか・・・ 銭勘定を間違えるのは、商売人として致命的だと思うのですが、でもなぜか憎めない。

そのおじちゃんに、自分の売ってる柿が渋柿だってこと知ってるのかな?と確認するために、こう聞いてみました。
「この柿、渋かったらどうするの?」
すると、間髪入れず、
「あ、それ、渋いよ、食べちゃダメだよ!」
もう買っちゃってるんですけど・・・

「すっかり熟れるまで食べちゃダメだよ!完熟するまで待つんだよ。よーく待つんだよ。この間、裏に住んでるお客さんに『小さな子にあげちゃダメだよ』って注意したんだけど、あげちゃったって。参ったなぁ。」
なんて言ってます。なんだ、やっぱり知ってるんだ。
私には何も言わなかったくせに・・・もうこれは確信犯。
渋をアルコールで抜くことは知らないようでしたが、確信犯のおじちゃんには教えてあげませんでした(笑)。

でもこの日、おじちゃんはいつもと違って、どことなく気もそぞろで、しょんぼりしていました。
「今日は元気がないようにお見かけしますけど・・・」と言ってみると
「実はね・・・これなんだ」と新聞を私に差し出しながら、大きな写真入りの記事を見せてくれました。
それは、モロッコの洪水の記事でした。
「おれの村が洪水の被害に遭って、すでに17人も死んでしまったんだよ。おれはフランスで生まれているし、両親もフランスにいるから無事だけど、おれの故郷の村の人は・・・・・。海沿いに家は建てるな、って経験者は口を酸っぱくして言ってるのに建てるやつが後を絶たないんだ・・・・・。」
そう言って、言葉をのんでしまいました。

私は即座に痛みを共感しました。
どんなに遠く離れていても、繋がっている、自分とは切り離せない場所と人々。
大切な場所、大切な人々。
自分を支えているもの。
それは同じだから。

「悲しくて仕方がないけど、受け入れて暮らしを続けていくしかないんだ。そうだろ。」

やりきれなさそうに、自分と私に言い聞かせるようにそう言うと、おじちゃんはため息をつきながら、お釣りをくれました。先ほど、「いつもありがとね、おまけしとくよ。」と言っていた手のひらの中のお釣りを、こんな悲しい会話の後で確認せずにお財布に入れそうになりかけて、念のために見てみると・・・・

やっぱり1ユーロ足りないじゃん

いかなるときも油断できないおじちゃんだけど、私もおじちゃんと一緒にモロッコの被害がこれ以上広がらないように心を込めて祈りました。
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