特別なランチ - ジンジャーの薫り・・・仏田舎手帖

特別なランチ

  • 2014.08.19
昨年の夏は、初めて家族揃って日本で過ごしていました。
もう一年が経ったなんて。ゆっくり振り返って味わう暇もないくらい、あっという間の一年でした。
母や友達と再会した大切な時間が、昨日のことのようにも感じられます。

1ヶ月の滞在を終えて戻ってきて、荷物の片付けも落ち着き、私は、私たちの日本行きを心から喜んでくれたこちらの友人に、報告をしに会いに行こうと思っていました。
その矢先・・・


突然、脳溢血で倒れ意識不明、

という信じられない知らせが入ってきました。
私より若い、まだ40歳ちょっとの彼女が?

倒れた時、たまたま旦那さんと一緒で、旦那さんは消防隊員なので応急処置が良かったらしく、幸い一命は取り留めました。

意識が戻ったとはいえ、最初は丸一日眠り続ける日が1ヶ月以上も続き、少しづつ覚醒している時間が増えていっても、話すことはほとんど出来ずにいました。
お見舞いに行ったとき、ただ目を開けているだけの無表情な顔に、サッと以前の人懐こい笑顔が浮かぶので、誰だかわかっているのだ・・・と知ることができるという具合でした。

それからリハビリをし続け、体力が少しずつついて、倒れる前の彼女にはまだほど遠く戻っていなくとも、倒れた後の絶望的な状態から考えると、奇跡的な回復をしています。

手足の機能などの肉体的な障害は出ずに済みましたが、多くの単語が思い出せないことと、視覚にダメージを受けて、ピントが合わず、1つのものが幾つにもダブって見えてしまう後遺症が出ました。(私の顔も歪んで5人ぐらいいるように見えるそうです)、外出したり、一度に沢山の人に会ったりすることは非常に疲れるので、もちろん出来ないことでした。
でも家の中で、ゆっくりと動いたり、話したり、来客にお茶を入れたり出来るようにまでなったのです。

長い、長い、一年でした。
彼女のまわりだけ時間が止まってしまっていたかもしれません。

だけど、そんな彼女と、親しい仲間内だけで、ランチをすることが出来ました!
人数が沢山だとまだ疲れてしまうので、女4人だけの、復活を祝したランチです。

料理好きな仲間の家に集まって、おいしい手作りのアッシーパルマンチエ(マッシュポテトとひき肉のグラタン)を囲み出すと、あら、彼女の口から前のようなジョークが、話すスピードはゆっくりとだけど、出てくる、出てくる。
ユーモアも復活したのです!

それは、前と変わらない、楽しくて気の置けない素敵な時間でした。
こんな時間がまたやって来てくれた、ということのありがたさが、しみじみと、心に沁みるひと時でした。
誰にも訪れうる、危ない境目を乗り越えて、人生に戻ってきた・・・その道のりを考えると、彼女はもちろん、私たちもこうして無事にいられることのありがたさを、ふつふつと感じられるのでした。
アッシーパーマンチエの味わいは「生きていること」の味わいでした。

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実は、不思議なことに、今のほうが彼女は幸せそうなのです。
以前はかなりの教育ママで心配性だったし、スピーディでじっとしていられなくて、ストレスフルな性格で知られていましたが、今はいつもニコニコして、すっごくのんき。
「子供たちは受験の準備をしているの?」と聞くと、「さぁねぇ・・・まぁ平気でしょう」と、前の彼女からは考えられない返事!前だったら、お尻をバシバシ叩いていたでしょうに。
「人生、もっと大事なことがあるから。」
と、ニッコリおっとり微笑んで言う彼女は、別人のようでもあり・・・

倒れたことで、新しい彼女が生まれたみたい。。。

一見悪いことのように見える出来事も、バランスを取り戻して良くなるためのプロセス

だと言いますが、彼女を見ていると本当にそんな感じがするのです。





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