学校の勉強はなんのためにするの? - ジンジャーの薫り・・・仏田舎手帖

学校の勉強はなんのためにするの?

  • 2012.02.21
研修のあいだ生き生きとしていたトトで、将来やりたい仕事が形となって見えてきた様子を私は嬉しい思いで見守っていました。進路が見えてくれば、あとはそれに向かって勉強していく意欲もますます湧いてくるでしょう。
ところが、研修が終わって少しして、トトがポツリと言ったセリフに、ギクッ 

「この仕事には、歴史とか、数式の複雑なのとか、全然関係なかったよ。誰もそんなこと仕事に使ってないよ。なんで学校で役に立たないことを勉強しなくちゃならないのかな?」

トトは昔から歴史があまり好きではありません。
現代の出来事は好きで、毎日欠かさず新聞もニュースも目を通していて、私より詳しかったりするのですが、「過去のこと」となった瞬間、彼の興味からは色あせたものとなってしまうようです。
中学でラテン語を選択するかしないか、と迷った時も、ラテン語は現在は使われていない「死語」 だと耳にしたとたん、彼の中では終わっていました。(笑)

アンティークが好きで、古いものが好きで、シュリーマンを読んで古代の遺跡発掘にも憧れていた私には、ラテン語を学ぶなんてとっても魅力的なことなのですが、トトはアンティークも「古臭くて」好きじゃない、ガリアやローマの時代から始まる歴史の授業は大昔のことで退屈極まりない、ヨーロッパの古い街並みも辛気臭い。
デザインも現代的でスタイリッシュなものが好き、とあって、我が息子ながら全然違う性格なんだな~とつくづく思ったものです。

全部の学科が好きなわけじゃないのは誰しも当然のことですが、それを自己コントロールして学んでいかなければならないのが学校の勉強です。
今までどの教科もがんばってきた彼ですが、この研修で前から不満に思っていた 「実用性」 を再確認してしまいました。

やりたい仕事は見つかったけど、あと何年も「役に立たない」勉強を続けなければならない・・・ 
これはジレンマです。
勉強で良い結果を出さないと希望する学校に入れない、入れないと希望する仕事に就けない、という現社会の図式は彼も重々わかっています。でもそれ以前に
「なぜ現実的に役に立たないことを勉強しなければならないのか?」という根本的な疑問があるわけです。
質問を投げかけられ、私は咄嗟にこう答えました。

「そうねぇ、人間として生まれた以上、私たちの周りを取り囲むすべてのことを知っておく必要があるからじゃない?
それに、どの教科にもその教科なりの思考方法というものがあるのよ。国語と数学では正解の出し方が違うように、いろんな物の考え方を習うことが、これから人生を歩いていく上で役に立つんじゃないかな。 人生には思いもかけないことが起きて、様々な思考の人もいて、違った角度から考えなければいけないことが沢山あるからね。それにいろんなことを知っていると、自由度が増すのよ。」

好き嫌いが激しくて偏った一部の教科しか身に入らなかった私が偉そうに言えることではありませんが、そんな私だからこそ、大人になってから「知識がもたらす物の見方の自由度」というものを、つくづく感じています。学校の成績が良い、ということではなく、いろいろなことを知る、ということの大切さ、すべてのことが私たちの生活に直接結びついている・・・ということを率直に感じているのです。子供たちの学校の勉強を時折手伝いながら、苦手だった教科を学ぶ楽しさも発見しました。

学校の勉強が嫌いだった人や奮わなかった人でも、幸せに暮らしている人は沢山いますから、そういう意味で「不自由」はないことです。でも、物事の成り立ちを理解することで視野が広がり、視界が開けたときに得られるものは、思考に翼が生えたような自由・・・この自由こそ得がたいものではないでしょうか。

社会に出てからは即戦力を持つことは大事なことでしょう。
でも、「役に立つ」「役に立たない」というのは、誰が、どういう基準で決めるものでしょう。
「役に立たない」と一見思えることも、実は「役に立たないものなど、一つもない」と、私は思います。
人間のからだだって、まつげ一本から爪の甘皮まで、役に立たないものはないのです。地球にも、宇宙にも、存在するもので役に立たないものは何一つないのではないでしょうか。
自分の持っている視野だけで、「役に立つ、立たない」を決めることは出来ないはずです。

だから、自分の価値観だけで簡単に「役に立たないこと」を決め付ける人間になってほしくない・・・・・と、私は子供たちに希望します。
大体、「役に立つか、立たないか」だけで物事を判断する人間にもなってほしくないものです。

学校で学ぶ勉強は、人間として視野を広げる第一歩、なのではないでしょうか。

私自身、物を知らない視野の狭い人間なので、毎日少しづつ視野を広げていけたらと嬉しいと自分に願っているのです


うまく説明できたかどうか、トトはあまり納得した様子ではありませんでしたが、私の思っていることを素直に伝えてみました。
皆さんはこう聞かれたら、どう返事しますか?



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