虫垂炎 - ジンジャーの薫り・・・仏田舎手帖

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虫垂炎

  • 2011.11.11
前記事の続きになりますが、トトが虫垂炎になった話です。

前日31日の夕方にお腹が痛くなったトト、日中もあまり食べていなかったので食あたりではなさそうだし、「お腹が空き過ぎたんじゃない?」という推測のもとに晩ご飯を食べさせてみましたが、まだお腹の辺りがもやもやとしている様子。それから珍しく早くに横になって、疲れたように寝入ってしまいました。ところが0時半頃に、強くなった痛みに目が覚めて起きてきました。

熱はないものの、吐き気がすると言い、お腹はかなり痛そうです。
どのあたりが痛いのかおへその周りを触って探ろうとすると、左側は押しても何ともないのですが、右側は痛がって触ることさえ出来ません。
痛いところを自分の指で指してごらんと言うと、人差し指の先が探知したのが、右下脇腹の一点。
盲腸の手術をしたことのある夫がシャツをめくって手術痕を見比べると、おへそからの方角といい距離といい、ピッタリ同じ位置にありました。

さらに確認するために夫がネットで症状を読むと
「顔色は緑色ががった蒼白」
その言葉を聞いて、思わず二人で納得してしまいました。
痛がっているトトの顔色はまさに緑蒼白だったからです。

これはどう見ても虫垂炎だ。これ以上待つことはない。行ってすぐに手術することになるだろう。と判断し、入院用の着替えなどを用意し、公立の総合病院の16歳以下の子供を担当する小児科の救急科に連れていきました。
病院に着いたのは午前1時半。他に救急の患者さんはなく、すぐに診てもらえました。祝日には病気になる人がいない、というわけではないでしょうが、やはり祝日のせいかスタッフの数も少なく、真夜中の病院はとても静かでした。

問診とお腹を押したり足を曲げさせたりの診察をした後、尿検査をして泌尿器系の炎症でないことを確認できたら、血液検査をして原因が虫垂炎かどうかを調べることになりました。朝一番で血液検査の結果が出次第、手術をする可能性もあると言われました。
腹痛で身体が硬直しきっていたトトは採血することも不可能だったので、鎮痛ガスのようなものをマスクから吸入させ、痛みも緊張も緩んだ状態で採血を行い、診察ベッドのまま待機用の個人部屋に移動させ、夫がそのまま付き添いで朝までいてくれることになりました。手術経験者の夫がいてくれたのはとても心強かったです。

夫は私と知り合って少しして虫垂炎手術をしました。
あの時はパリに住んでいたのですが、腹痛がして個人医のところに診察に行くと、今すぐ大きな病院に行きなさいと言われました。それで2人でバスで病院に向かったのですが、診察するとその場で入院するよう言われ、一晩観察した後翌朝手術ということになりました。当時は入院するとも思っていなかったので何の支度もしていず、夫を病院に取られて私は一人彼のアパルトマンに戻って、翌朝荷物を持って病院に見舞った時はもう手術が終わり麻酔から覚めて2人部屋の病室に夫がいました。一週間近く入院していたと思います。私は留学先の中国から冬休み中に彼に会いにパリに来ていたので、右も左もわからない状態でしたが、あの時のことは今でも鮮明に覚えています。
そんな経験がありましたから、手術の成り行きを体で知っている彼が「最高に痛いのは今だぞ、あとは楽になるだけだ。頑張れよ。」などと話してくれ、この日いてくれたおかげで落ち着いて楽しく(?)対処することができました。翌日から出張に出かける予定になっていましたから、間に合ってラッキーでした。

トトと夫を病院に残して私は午前3時半に一旦帰宅し、7時に目覚ましをかけて仮眠。
朦朧としながらも起きてシャワーを浴びていると、夫から携帯に電話がかかってきました。

シャワーの水も止めず、そのまま飛び出して、電波の通るところへ携帯電話をつかんで移動します。(家の中は携帯が通じるスポットが少ないので、ものすごくヘンな場所で不自由な格好で話さなければならないのです!)
バスタオルを手に取る暇もなかったので、素っ裸のまま。浴びたシャワーの水滴が体から滑り落ちてポタポタと足元に落ちていきます。
「どうなった?」と食いつくように様子を伺う私の耳に、電話の声が言いました。
「手術したよ。」
「エエッ、もう!!??」
真剣な叫び声をあげる私に、電話の声は続きました。
「ボクを手術したよ。」

携帯の声が途切れ途切れになるので、朦朧としている頭をなんとか集中させて聞き入りました。
「エッ?手術したって?」
‘ボク’というのは聞き間違えだったかと聞き直すと
電話の声はもう一度
「ボクを手術したよ。」
と言います。

(あれっ、‘ボク’ってことはトトが話してる?声は夫の寝不足の時の声にそっくりだけど、ひょっとしたらトトの声?携帯で音がよく聞こえないけど、これはトトの声?)
と一瞬考えた後、手術した本人がかけてくるわけないよ、と気づきます。
(じゃぁ、なんで‘ボク’なの??)と頭が混乱していると・・・

「付き添いの小さなベッドで寝てたら、小さいベッドの方が子供だと思って、ボクを手術したんだ。でもボクはもう虫垂がないもんね!」


・・・・・・・・


・・・・・・・・


・・・・・・・・・


「こんな時に冗談いわないでよっ!!」

ようやっと私の脳みそも目が覚めて、夫のジョークが飲み込めました。
「もー、裸で寒いのに真剣に聞いてるんだからね、こっちは!!」

はははは、トトと楽しくやってるよ。

と夫が言い、血液検査の結果は白血球数も増えていず問題がないと出た、と教えてくれました。従って虫垂炎ではなく、胃腸炎の可能性もあり、今度は超音波検査で調べるとのことでした。

夫からの次の連絡を待ちながらナナと一緒に朝食を食べ、私の泊まり用の荷物をまとめ、持っていく昼食の準備をし終わってもまだ進展なしでしたが、病院に向かう車の中で夫から電話がかかってきました。
今度はジョーク無しで
「今、超音波検査をしたところだけど、バッチリわかったよ。9mmに腫れた 正真正銘の立派な虫垂炎 だって。これから手術の準備に入るよ。」
午前11時のことでした。

それで家族全員で手術前のトトに付き添うことが出来ました。手術に同意するサインをした後、午後2時に長い長い廊下をまたベッドごと移動して手術室へ向かいました。麻酔担当のドクターはスペイン語のアクセントでフランス語を喋り、麻酔に必要な質問を私たちにいくつかすると、トトを安心させるように静かな笑顔で励ましました。それから2人の看護婦さんがやって来て、「ボンジュール、トト。私は麻酔担当のドクターと一緒に手術室に入る看護婦です。手術室に入ったらあなたを眠らせるために薬を使うけど、心配しないでね。」と優しく自己紹介をしてくれました。もう一人の女性は「ボンジュール、トト。私は執刀担当のドクターと一緒に仕事をする看護婦です。手術は麻酔から目覚めまで1時間半~2時間ぐらいよ。」と説明してくれました。
小児科ということもあったのでしょうが、どのスタッフもとても心配りがきいていて、「トト」と最初から名前で呼びかけてくれます。そして直接本人にわかるように説明をしてくれるので、これから何が行われるかを理解できるので余計な不安はありませんでした。

実は11月1日は祝日で、この日にナナの誕生パーティをする予定でした。家族とジジババ揃って食事会をする予定でいました。前日に子供たちの好きなご馳走の素材をしこたま買い込みに行って、当日は朝からケーキや料理を作るつもりでいたら、前日の夜にトトが発症したわけです。好物を食べ逃したトトは 「フォアグラ・・・」と悔しそうに呟いて、手術室へ向かいました。

手術が終わり麻酔から覚める覚醒室にトトが移ったら、私たちの携帯に電話連絡をしてくれるとのことでした。
それで2時間の間家に戻って、私は夕飯の支度と洗濯などをし、夫とナナもそれぞれの事をしている間に「会いに来ていいですよ」と看護婦さんから電話がかかってきました。
今年引越しをして、病院へは車で10分の距離になっていました。引越しをして本当によかった、と今回はつくづく思いました。前だったらスムーズに行って車で40分ぐらい、2時間の間にこうしてちょっと戻ってきて用事を済ませることは出来なかったですし、入院中も昼間すぐに家に戻ることも出来ませんし、救急に行く時もナナを一人で家に残すことも出来ず、入院はもっと大変なものになっていたと思います。

麻酔の覚醒室に行くと、トトがうつらうつらとしながら、様々な器械に繋がれて横たわっていました。私たちが話しかけるとかすかにウィとかノンを言えるだけでしたが、看護婦さんがやって来て何かをすると、「メルシー」と必ず応えていて、まだ麻酔から完全には覚めていないうつろな状態なのに、なかなか感心な態度だと思いました。
執刀を担当したドクターがやって来て、今度はアフリカ系のアクセントでフランス語を話し、手術は無事に終わったこと、問題なければ明後日に退院できると言いました。
しばらく4人で静かにしていると、病室に戻ってよいと言われ、またもと来た長い廊下を移動しました。

最初に診察をした2人のドクターはフランス人でしたが、手術を担当したのは、このようにスペイン系とアフリカ系。外国人は開業医にはなれませんが、優秀な外国人のドクターはこうして総合病院で働くケースが多いのだそうです。移民の多いフランスの厚みを感じた今回でもありました。

また病室には陽気なピエロがやって来て、楽しいマジックを披露してくれ、心配の中くつろぐひと時を味あわせてくれました。
虫垂炎は複雑な病気ではありませんが、病室には様々な病気で長期入院している子もおり、そんな子供たちを楽しませる素晴らしい仕事だなと思いました。入院中の子にとって彼は太陽のような存在ではないでしょうか。

火曜の午後に手術して、木曜朝に退院、翌月曜から学校に行って良い、と言われました。
あまりのスピードにビックリして返す言葉もありませんでしたが、そんなに早く回復するものなのか??と様子を見ていましたが、やはり月曜に完全復帰とはいきませんでした。
手術直後はガスがお腹にたまるのと、尿がうまく出せないのとが辛かったですが、それが良くなった後もまだ息切れがひどく、傷口は引き攣れており真っ直ぐに立てなくて、傷口をかばって体をくの字にして、ソロソロと歩く姿で重いかばんを持って学校になど行けませんでした。どうしても行くと言うので月曜の午後から半日行ってみたものの、火曜は一日休んで、水曜の午前中復帰、木曜はなんとか一日復帰しました。続いて今日から金、土、日、月と連休なので、この4日間家で休めるのが幸いです。
抗生物質を4日間飲むということと、シャワーは傷口に当てたテープが10日間取れないよう10分以内で、という以外は他に制限がなく、食事も好きなものを食べてよいとのこと。手術後の検診もなし。体育の授業は3週間禁止です。


以上、思い出すことを書いてみましたが、参考になりましたでしょうか?
以前から一年に1、2度ぐらいお腹が痛くなっていたトト。あれは虫垂炎の予兆だったのだと思います。
突発的に発症しますが、差し障りのある時期でなくて幸いでした。
来年は学校のプログラムでミュンヘンにホームステイと、中学最終学年として職業研修が一週間ありますが、その間でなくて良かったです。ドイツのかぐやひめも帰った後ですし、夫も手術日にいてくれましたし、私が病院に付き添い寝をした2晩は夫はいなくても義父母がいてくれたのでナナを預けることができましたし、何もかも整った環境だったことが何より幸運でした。
これでしっかり体力を回復すればもう大丈夫です。
救急科に駆け込んだ時に着ていたパジャマはイヤな思い出でもう見たくもないので捨ててくれ、というトトの願いですが、傷口は彼の勲章となって残り、大人になったら懐かしく思い出せるかもしれません。

とりあえず、明日は傷口をおさえてあるテープを自分ではがさないとなりません。
う~、こわいな~、いやだな~、傷口がパッカリ開いてしまったらどうしよう~ (私、こういうこと苦手な人)。
若い看護婦さんは退院する時、「無料の脱毛だと思って!」とポジティブ化を試みていましたが、14歳の男の子に脱毛の喜びがわかるでしょうか(笑)
本人はシャワーを当てながら、ゆっくりはがすと言っています。


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