床いっぱいのしあわせ - ジンジャーの薫り・・・仏田舎手帖

床いっぱいのしあわせ

  • 2011.10.27
母から大きな荷物が届きました。

母らしくきっちりと律儀に紐をかけて包装した箱は、『舌きりすずめ』のすずめのお宿で欲張りばぁさんが選ぶに違いないくらい大きく、ずっしりと重い。物語だと中にはミミズや蛇や化け物が出てくるはずだけど、母の箱はこの大きな中に本当に玉手箱のように日本の大判小判…と私には思えるものががざくざく。
ナナへの誕生日プレゼントとともに子供たちの好きなお菓子や食料品、私がネットで買いだめた本などがぎっしりでした。

特に欠かせないのがナナへのお餅。朝はあまり胃腸の調子が良くないナナは、パンのかけらすら食べられないことも多く、果物やヨーグルトなどいろいろ試みたけれど、食べるとすぐに気持ち悪くなってしまいます。ところが大好きなお餅だったら、1個ぺろりと食べられて、お昼まで持ちが良いという二次効果も重なって、朝食には焼き海苔で巻いたお餅が定番になりました。
もう一つは、トトへのふ菓子。黒糖のまぶしてあるふ菓子はなぜか昔ッからトトの好物。フランス人から見たら「ガトー(お菓子)」のコンセプトからははずれるかもしれないこのシンプルな日本の甘味が、初めて食べた時から口に合ったようです。
日本人の味覚の遺伝子が彼らに備わってるんだなぁ・・・と思う現象です。


春になって桜を見ると、その美しさに見とれると共に、はかなさや郷愁を感じてしみじみとした気持ちで一杯になりますが、母からの大箱を開けた時はまさにそんな気持ちに包まれます。
あちこちの店を廻って孫のために娘家族のために美味しそうなもの、珍しいものを選りすぐっては買い集め、箱の中にうまく収めるように何度も入れ直しをして無駄な隙のないように詰める。
この重い箱を、階段の上り下りをしながら郵便局に運ぶ老齢の母の強さと愛情に、普段は心の奥でフタをしめて眠らせている日本へのホームシックや懐かしさが目覚めて、せつない甘えと感謝の気持ちが胸に溢れてきます。

箱から取り出したものを吟味した後、次々に床に置いて、また箱の中に手を入れる・・・
玉手箱は底なしであるかのように、出てくる、出てくる・・・
床いっぱいに幸せが広がります。

言葉には言い尽くせないこの想いを、それこそ小さな玉手箱に閉じ込めておけたら。


お母さん、本当にありがとう!



関連記事

12 comments

非公開コメント

0 trackbacks

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)