バゲットの尻尾 - ジンジャーの薫り・・・仏田舎手帖

  • --.--.--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

- comments

非公開コメント

- trackbacks

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

バゲットの尻尾

  • 2011.10.19
フランスに来たことのある方は、エッフェル塔を見るよりも前に、この姿を見かけたことがあるのではないでしょうか。





パン屋さんで買ったばかりのバゲットパンを手にして街角を歩くフランス人の姿、でもよく見るとバゲットの先が欠けています。

こちらに来た当時、一時期一緒に暮らしていた義両親宅でも、義父がバゲットを数本買って帰ってくるとなぜか必ず先っぽのないものが一本あるのです。最初はなんとなく、パン屋さんで欠けてしまったものを貰ってきてしまったのだろう、と思っていました。

そして食事時になると、両端のついた“完全な姿”のバゲットの先っぽにナイフを当てて、まず私に聞くのです。「この部分、食べたい?」

日本人的な私の感覚から言うと、おいしいのは先っぽではなくもちろん胴体の方です。バゲットの先なんて、食パンに喩えて言うなら「耳」の部分・・・つまりそこに付いているから仕方なく食べる、といった感覚です。

「この部分、食べたい?」と聞かれた時の私の思考は、

「パンの中で一番おいしくない部分だけど、これでもいいかい?」→ → 遠慮して私が犠牲になって(って言葉が大げさ過ぎですが。笑)その部分をいただきます。どうぞ他の皆さんで胴体の美味しい部分を召し上がって下さい。。。。

となるわけです。それで、
「えぇ、それでいいです。」
という返事をしていたのでした。

ところがある時、目撃してしまったのです!

義父がテレビを見ながらその先っぽを嬉しそうにカリカリ齧っているのを。



そして夫も“完全体”のバゲットを見かけるやいなやバゲットに突進し、本能ともいえる早業で先っぽをもぎ取ると、たちまち歯の間からカリカリと音を響かせるではありませんか。

夫と義父が揃うと、テーブルの上には先っぽのないバゲットばかりが並ぶことになりました。
そして義母は叱って言うのでした。
「まぁなんてお行儀の悪い。美味しい部分を自分たちで食べてしまって、失礼じゃないの。」

なんと、フランス人はこのバゲットの先っぽを QUIGNON(キニョン)と呼び、こよなく愛しているのです

私にまず最初にに先っぽを食べたいか?と聞いてきたのは、彼らにとってそのこよなく美味しい部分を齧りたい衝動をグッと堪えて、食べる権利を私に優先的に与えてくれていた美しい謙譲愛からだったのでした。

そのことがわかって以来、私は堂々と「いいえ、要りません。」と言えるようになり、義父は安心して先っぽを堪能できるようになったのです。

子供たちもなぜだかいつの間にか先っぽが大好きに育っていました。フシギですね~。


さて、我が家にホームステイしていたドイツのかぐやひめ
ドイツにはシリアルが入った黒パンはあるけれど、バゲットパンはないのだそうで、ここではバゲットが大好きだと言っていました。それでテーブルに出した時に
「フランス人は先っぽが好きなんだけど、あなたはどう?」と聞いてみると
「私も
と言うではありませんか。

そこで、全員がケンカにならないように重宝していたのがこれ。



カットしてテーブルに出すやいなや、あっという間に4つの先っぽに4本の手が伸びて、籠の中から消えていきました。
かぐやひめとトトとナナと夫と、4人全員が先っぽを食べられる、という優れもののバゲットです。
4本の尻尾が出ているみたい。


私はやっぱり、白身のある胴体が好き。(↓先っぽをカットした姿)




なので、全員で円満に食べられる、素敵なパンです。


ドイツのかぐやひめは今朝早くに帰国の途に就きました。
このパンでサンドイッチを作って持たせたのは言うまでもありません。
今日は長旅のバスの中で、4つもの先っぽを思う存分独り占めしてもらいたいです 









関連記事

14 comments

非公開コメント

0 trackbacks

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。