立つのは牡丹か芍薬か - ジンジャーの薫り・・・仏田舎手帖

立つのは牡丹か芍薬か

  • 2011.06.10
「私の一番好きな花は牡丹」

だと、今までに何度かこのブログで豪語してまいりました。

しかし、人生には予想もしなかったことが起こります。


怖い人だと思っていた人が、実はとてつもなくやさしい人であったり、

親切だと思っていた人が、裏で陰口をたたいていたり、

腹の立つことが、実はありがたいことであったり、

嬉しいと思っていたことが、実は悲劇だったり、

嫌いだと思っていたことが、ライフワークとなったり、

カエルだと思っていたら、王子様だったり。


それらはすべて思い違いから来ているのですが、こういう思い違いは日常に無数に散らばっていて、これが人生という編みこみ模様を時には彩り、時には複雑にし、時には重大事にさえ至らせてしまうと言っても過言ではありません。もちろん、何の害もない思い違いもあります。今回の私のように。

その思い違いに一生気がつかない場合もあるし、ひょんなことから気がつくこともあります。

私も、「私の一番好きな花は牡丹です。」と・・・
おばあちゃんになっても言い続けていて、末代まで墓前にも供えてもらっていたかもしれません。

しかーし!!

勘違いの糸くずの先っぽは、ある日突然、目の前に姿を現しました。

ピンクのは、葉の感じが芍薬かもしれません」という以前の記事へのLilyさんのなにげないコメントでした。

「芍薬

おぼろげながら、日本にいた時に見たような記憶があります。
゜ふーん、これが芍薬、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」というけれど、芍薬も百合も牡丹の魅力にはかなわないわ。ちょっとアンバランスなセリフだわね・・・゜
と思った遠~い記憶があります。
それ以来、私は芍薬がどんな花なのかも忘れてしまっていました。

ところが、調べてみると・・・

シャクヤク(芍薬)はボタン科の多年草。学名 Paeonia lactiflora。 高さ約60cm。葉は複葉。初夏、大形の紅・白色などのボタンに似た花を開く。(ウイキペディア


あら、ボタンに似たような花なのね・・・そうだったかしら・・・(←まだ気づいていない)


お客様からよく、「シャクヤクとボタンはどう違うのか」というご質問を頂きます。簡潔な説明として「シャクヤクは草、ボタンは木」というのがあります。ともにボタン科ボタン属の植物ではありますが、ボタンは低木(木本植物)、シャクヤクは草(草本植物)になります。ボタンは「木」の姿で越冬し、シャクヤクは冬には地上部は枯れ根が生きているだけです。樹木一般に行われる「剪定」という作業もボタン栽培ではありますが、シャクヤクではありません。(京都府立植物園


あら
私が牡丹だと思って、今までせっせと植えていたものと、この新居に移る縁を感じた庭の花跡は・・・、地上に出ていたのは、冬には枯れた茎だけでした。
ということは

まさか・・・、芍薬 ?? 

どうりで剪定が必要ないはず!
そういえば、まだ年数が幼い牡丹だから、木にならないのかと漠然と思っていたのです!
年数が経つにつれあの細い茎が太い木状になっていくのかと、疑ってもみなかったのですが、最初から別のものだったのですね。


好きな「牡丹」のフランス語訳を調べたときに「pivoine」と出てきたので、牡丹=pivoine とだけ思っていましたが、実は「芍薬」もフランス語で「pivoine」なのでした。
そして、フランス語だと、なんともあっけないくらいわかりやすい名前です。

牡丹=Pivoine arbustive ←小低木の「pivoine」

芍薬=Pivoine herbacée ←草質の「pivoine」


学名の「Paeonia」は、はじめて芍薬を医療に用いたという医師「パイエオーン(パエオン、ペオン)」に由来するそうです。それで、英語もpeony というそうです。(What's in a Name ?)


「立てば芍薬、座れば牡丹」、という表現は、フランス語では立っても座っても「pivoine」なのでした。

「pivoine」が牡丹も芍薬も意味していた、という発見と同時に、

2つの似た花に、似ても似つかない名前をつけた中国語の表現力  にもつくづく感心してしまいました。


ところで日本にいたときに芍薬を見て心引かれなかったのはなぜでしょう。
それは、様々な種類の芍薬があるので、たまたまそれほど好きなタイプでない花を見てしまったのかもしれません。日本に多いのは一重のもの、フランスで改良されたのは八重のものが多いそうです。

というわけで、私の一番好きな花は、「牡丹と芍薬」だったのでした。
そして「牡丹園」にしようと庭にせっせと牡丹を植えていたはずが、実は「芍薬園」になっていたのでした。。。

pivoine 004



みなさんはどんな「思い違い」をしたことがありますか?

関連記事

6 comments

非公開コメント

0 trackbacks

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)