助け合い商店 - ジンジャーの薫り・・・仏田舎手帖

助け合い商店

  • 2009.07.02
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知人がNPOとして「助け合い商店」というものを去年の暮れに立ち上げました。
助け合い商店」という私の訳がなんとも野暮ったいですが、お店自体はとても素敵に出来上がっています。(また別の機会にご紹介しますね)

今は世界的に経済危機ですが、フランスはもう長いこと経済不況が続いていて不況のベテラン?!であるために、収入のなくなった人への援助システムが様々に存在します。
国の社会保障システムはもちろんのこと、多くのボランティア団体が活動を行っているのです。
食糧に関しては、Resto du cœur (心のレストラン)という、1985年に喜劇役者のコリューシュ(Coluche)によって創られた組織が、冬場に無料で料理を配る場所として全国的に有名です。
飢えと寒さで亡くなる人がいないように、というこの活動は多くのフランス人が支える団体ではないでしょうか。
Soupe populaire (みんなのスープ)という団体も同じように無料で料理を配給しているようです。この他Secours catholique (カトリック救助会)はもちろん、Secours populaire(人民救済)なども大きなボランティア団体で、食糧補助だけでなく生活全般、教育などのサポートを行っているようです。

知人が考えたのは、でも、こういう場所に困っている人みんなが足を運ぶわけではない、ということでした。浮浪者やホームレスの人だけでなく、先日まで普通に働いていた人たちが突然解雇を言い渡され、失業保険や生活保護費だけでは家族を養っていけなくなるケースも沢山あります。そしてこの状態が長期的に続き困窮していくケースが後を絶たないのです。

食べていけない状況に陥るのは、特殊な人たちではない現在。明日には、隣人の誰かが、知人の誰かが、そして自分すらもあり得ると多くのフランス人が思える状況なのです。こういった「一見普通の人」たちは、自尊心もあり、遠慮もあり、無料食糧配給所へは足を運びません。
また知人によると、60歳以上の方は絶対に救済所には足を運ばない、ということでした。なぜなら、この年代の方は何十年もちゃんと働いてきて急にお払い箱になってしまった場合が多く、働くことに自負心を持っているため、よそに助けを求めるという性格を持たないのだそうです。

物乞いとはもちろん違うのですが、やはり自分が明日そうなったら、と立場を置き換えて考えると、そういう所で列に並んで食糧をもらう、という行為自体、勇気を必要とすることではないでしょうか。

そこで知人が立ち上げたのは、「ただで配ってもらう」のではなく、「わずかでもお金を払って買う」場所でした。つまり、店構えは普通の食料品店と同じ、だけど料金だけが破格に安い食料品店なのです。
もちろん、無料ではないので、それを払えるだけのお金は持っている人が対象となるわけですが。
無料支給団体が対象としている人たちではなく、通常の買い物が出来る人でもなく、その中間に位置している人たちの援助を目的としたわけです。

ここで買うためには、収入や家族状況などの面で条件を満たしている人が会員になる必要があります。現在、400家族(450人の子供達を含む)が会員で、去年の暮れから8トンの牛乳と11トンの野菜や果物、そして32トンのその他の食糧を配給してきたとのこと。

この「助け合い商店」へは地方自治体も補助金を出していますが、販売する食糧の主な供給元は「フードバンク(banque alimentaire)/食糧銀行」と呼ばれる、これもボランティア団体によるものです。食糧銀行は、各種大手スーパーから賞味期限間近になった商品や過剰商品などを受け取っているそうです。また年末になると、この団体の方たちがよくスーパーの出口で食糧寄付を募っている姿が見られます。買い物に来たお客さんたちの善意でいくつかの食糧を買ってもらい寄付してもらうわけです。

・・・というわけで、これからが本題 (ながーい前置きになりました)。
しかし「フードバンク」からの寄付だけでは在庫に限りがあるため、「助け合い商店」もこの日一日、近隣の各種大手スーパーで、食糧寄付を募る活動を行いました。私も、スーパーの入り口でお手伝いをしてきました。
どんなことをしたのかと言うと・・・

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「こんにちは、『助け合い商店』に食糧寄付をお願いしておりますが、もしご興味がありましたら、お好きな食料を買って寄付していただけませんか。特に必要なのは食用油、砂糖、コーヒー、乾物野菜などですが、他の食糧でも、ご選択はご自由におまかせします。」

入ってくるスーパーのお客さんに、ビニール袋とチラシを渡します。
チラシには、助け合い商店の説明と、今回特に必要な食料品の内訳が書いてあります。
必要な食料品は、需要に対して供給が圧倒的に少ない、食用油、砂糖、コーヒー(粉)、乾物野菜(豆の缶詰など)です。

寄付活動が盛んなこちらでは、よくこういった類の声をかけられることがあるのですが、私などは「本当にちゃんとしたところへ行くのかしら?役立てているのかしら? 」などと用心深くなって、街頭で声をかけられたからと言って、通り過ぎてしまうことの方が多いので、
今回もお手伝いをしながら、どれだけの人が応えてくれるのかしらと正直言って期待はしていませんでした。

ところが、本当に沢山の人が、立ち止まって、チラシを手に取り、私が最後まで言い終わるまで聞いてくれるのにはびっくりしました。もちろん、言っているそばから首を振って通り過ぎてしまう人も沢山いましたけれどね。
通り過ぎる人も無言ではなく、「興味ないから」「私も経済的に困っているから、ごめんなさい」「今日はタバコを買いに来ただけだから。」などと理由を一言言ってくれる人も沢山いました。

そして・・・

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こんな風に、自分の買い物のついでに、寄付用に食料品を買って私たちのカートに入れてくれる人。
自分の買い物はしないのに、助け合い商店のためにわざわざ買ってくれた人もいました。
帰りに子供に寄付品をカートに入れさせる親もいました。


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「フードバンク(食糧銀行)」の食糧寄付活動のポスターとカート。
小麦粉、パスタなども持ってきてくれました。大きなカートは午後の数時間で4台ほど満杯になりました。


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カルフールでやったので、値段のお得なカルフール自社製品のものも多かったです。


不況ということもあるのでしょうか、スーパーの入り口に立つ私たちに「他人事」というそっけない反応は感じなかったことが、今回初めて活動に参加した私の発見でした。
「食糧寄付をお願いしているのですが・・・」と切り出したとたん、足を止める家族連れや、ちょっと不良っぽい格好の若者のグループが意外とおとなしくチラシを受け取ってくれたり。
ありきたりなようですが、困ったときはみんなで助け合う、これが世界最強の方法だなと実感しました。
ほのかに心温まった午後でした。



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